アーサー・ビナードさんの朗読会
『雨ニモマケズ Rain Won't』刊行記念の原画展(11/5まで)
それにまつわる企画が、先日、国立のビブリオ・ギャラリーで
行われました。

雨ニモマケズ


宮沢賢治・原作/アーサー・ビナード・英訳/山村浩二・絵
        今人舎

朗読会は、まず原作の日本語で、ついで、ビナードさんが
訳された英語で、続けて2回読まれました。
そのあと、ビナードさんに、うまく導かれながら、
みなで、この『雨ニモマケズ』の”ヘソ” 部分について
考えました。

この話のどこがヘソなのか、根っことして捉えるべきところは
どこなのか。
いろんな意見が出てきて、ある人は、ヘソはわからないけれど、
最初の出だし ”雨ニモマケズ” が好きだと言いました。
ある人は、最後の ”サウイフモニ ワタシハ ナリタイ”に
つながる、”ミンナニデクノボートヨバレ” の部分ではないかと。
ビナードさんは、それを受けて、出だしも、おしまいも、
強烈な印象ではあるけれど、ヘソとは違うのではないかと言われ、
さらに、話は続きました。
一日ニ 玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ” ではないか、
生きていく源となる食べることがヘソになるのでは・・・?
という意見が出てきて、ハッとしました。
あ、きっとそうだ!
だから、DMにもこのシーンの絵が描かれていたのか!!
ビナードさんもまったく同感だと 頷かれたのでした。

一日に玄米4合とは、かなりの量だけれど、味噌と少しの
野菜だけだったら、決して多すぎない量の主食。
もしかしたら、そこには願望も含まれていたかもしれないけれど、
それらが全部、コンビニやファーストフードではなく、
遺伝子組み換え、セシウムの心配のない、地産地消の食べ物
であること。
賢治の時代には、まさか今の世の中を予想しなかったに
違いないけれど、大事なことがここにあるのではないか。

戦後の教科書で、政府によって、玄米4合を玄米3合に
代えられて表記されたというお話もありました。
生活の根っこである食べることについて、生活の水準が
下がっていると不満が出ることを恐れたからこそ、
政府は、このヘソの部分を代えて利用した、という話。

教科書でとりあげられることで、この詩ほど、
誤解されている詩もないように思うとも言われました。
道徳的に読み解こうとするから、この作品の世界と
かけ離れてしまう・・・。
その上、カナ表記で読みづらく、苦手意識や
暗記などの苦痛を伴う思い出で、ずいぶん誤解されて
しまっているのだろうと。

今の子どもたちには、里山の風景も、はざかけの様子も、
言葉からイメージできるものは、わたしたちの世代と比べても
圧倒的に不利で、実体験としてないことばかり。
ならば、賢治の世界を、絵によって知ってほしいと、
山村浩二さんと相談されて、この里山の風景を描いたそうです。
原画も絵本も、すばらしく味わい深い世界が広がっています。

もし、賢治が今の世に生きていたら・・・
きっと戦っていますよ!とビナードさんは言われました。
今の生活が、基本(根っこ)から大きくはずれているという
大問題を見据えつつ、今、何をしていくか考えなければ!
そんなメッセージと受け取りました。
(絵本のあとがきにも、講演時のおはなしの内容が
 含まれています。)

面白いお話と、ビナードさんのお人柄で、会場の部屋は
ぎゅうぎゅうの満員御礼。
すばらしいお話が聞けて、気持ちも晴れ晴れし、
考えるきっかけをいただいて帰ってきました。
『雨ニモマケズ』 味わってみます。
 
| 琴子 | 14:47 | comments(2) | trackbacks(0) |

Comment
☆nao-yuuka-ayuchan5さん

アーサー・ビナードさんのお話、聞かれているんですね!
写真でご本人の姿は見知っていたし、『さがしています』が
出たときも、この方 ただ者ではないと感じましたが、
今回お話を聴いて、ますますそう思いました。
よほど、わたしたちより、日本人の心をお持ちですよね。
ユーモアにくるみながら、大事な問題提起をしてくださる
なによりお話がうまくて、わかりやすかったです。

この絵本、もう見られたかな・・・絵もすばらしかったですね。
Posted by: 琴子 |at: 2013/11/09 7:05 AM
おはようございます。
ビナードさんのお話はいつも興味深いです。
先日、『さがしています』の講演会では原発問題のお話をされて
ちょっと難しい話が多かったんですけど
ビナードさんがお話しすると、どんなに難しいことでも
惹きつけられ「なるほど」と思うことばかりでした。
実際に、日本であったことばかりなのに
日本人の私たちよりも日本のことをよく知って見えて
頭が上がりません。。。
「雨ニモマケズ」は小さい頃に母の大切な本にあった
朗読レコードを何度も聞かせてもらっていて
詩も頭に入っています。
でも、情景がわいてこなくて絵本作家さんで
どなたか絵本を描いてくださるといいな〜
と、ずっと思っていたんです!
まさか、ビナードさんの英訳と山村さんの画で
絵本が出版されるなんて、とても嬉しいです。
早速、予約したいと思います♪
Posted by: nao-yuuka-ayuchan5 |at: 2013/11/07 9:39 AM








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